あれからもう10年も経つだろうか、”裁判傍聴”に足繁く通っていたころに見たあの光景。
東京地裁では毎日数十から100件を超えるほどの裁判が行われているため、人気の無いものは傍聴人が自分達以外いないなんてこともありました。
が、
とりわけ注目度が高く、傍聴することさえ困難だったのが”殺人案件”。
見回すと、メモ帳にペンを走らせながら熱心に傍聴する方は実に多く、”殺人”に対する本能的な”興味”を実感していました。
かくいう僕も殺人者が裁かれる光景には、なにか”ときめき”のようなものを感じていた事を未だに覚えています。
と、同時に興味の主人公である”殺人者達”に感じた違和感。
それは、皆一様に
「あれは事故なんだ、気づいたら死んでいたんだ。」
と語る点。
情状酌量を得るためなのかも知れませんが、
『はずみ・反動・なりゆき』
が原因であり
「殺すつもりはなかった」
と語る方は実に多かったです。
それまでの僕は『殺すつもりがあるから殺す』ものだと思っていたため、このような弁論はなかなかにカルチャーショックでした。
また、とある方は
『数十年の時を経て、また同じような状況で人を殺してしまった』
と。
人殺しには”殺す!”という意思の前に、人殺しになる”宿命”や”運命”があるのだろうなとこの時、感じざるを得ませんでした。
今回書評する、”殺人鬼フジコの衝動”を読む中で僕は、もう10年も前に感じたこの”違和感”を鮮明に呼び起こされ
『人の奥深くにあり、偽ったり覆すことのできない本能』
そんなようなものをこの本の中に見ることができました。
では、書評させていいただきます。
書評その10 『殺人鬼フジコの衝動』を読んで思った率直な感想
自己Q&A形式で綴っていきます。
- Q1.読んでみてまずどうだった?
- 元々は真梨さんの別の本を読もうと思っていたが、クチコミ件数が多く評価も高かったため急遽この本を読み始めました。
はしがきの時点で、”シャンソン”やら”蝋人形”やらと少々とっつきにくいなとも思いました。
それでも人気な作品なので読みすすめていきました。 - Q2.ストーリーはどうだった?
- 前半、「あれ?官能小説なのコレ?」と思うほどの展開にまず驚きました。
また、足立コンクリート事件のような、、もう胸くそでした。
この時点(第一章)でもう真梨ワールドに没入です。 - Q3.読んでどんな心境になった?
- 自分の中にあるイヤミスメーターがちょくちょくビッビビッビと振り切れる感じです。
- Q4.この本のピークポイントは?
- 各章の中にも没入点はあります。
それでも、やはりあとがき以降がピークになるでしょうか。
「ほう、、ほう、、はぁ。。」といった感じです。
そしてそして、さらにあとがきすら終わった最後のページの数行。
ここで疑心が確信に変わります。
それでも、多くの真梨作品を嗜む方はある程度予想もついてしまうかもしれませんね。 - Q5.なにか気づいたこと、気になったことは?
- 真梨さんが官能小説書いたらすんごいのができそうだなと思いました。
- Q6.この本を読むきっかけは?
- やはり人気だったからです。
レビューも多く、フジコシリーズは数冊でていますね。
真梨さんの代表作と言ったらこの本を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
そういう本だから読みました。 - Q7.読んでほしい年齢層は?
- どうなのでしょうか。。
思春期の子達が読んでも感情を揺さぶられるでしょうか。
それでも中学生とかだとまだ早いのかな。。
高校生以降くらいから文字が読めるまでの方々なら楽しめるというか『イヤミス』を実感できるのではないでしょうか。 - Q8.また見たいと思うか?
- 昨日読み終えて、ちょこちょこ見返しながら今記事を綴っているのですが、すぐに読みたいとは思いません。
それでも、なにかの拍子にまた読みたくなると思います。
それ以上に真梨幸子さんの他の本が読みたくて仕方なくなっています。 - Q9.あなたにとっての何冊に入る本?
- 今まで見てきた真梨作品の中ではそこまで上位にはこないかなと。。
前回書評した”カウントダウン”の方が上位にくるかなといった感じです(※個人的な意見です。)
それでも、振り切れた描写(殺し・解体・強姦・放置)が得意な方には楽しめると思います。 - Q10.最後にまとめ
- この本を読んでとにかく考えてしまうのが
「真梨幸子さんはどんな世界で生きているんだ??」
という点。
ドラマや映画でもハマり役で演技の上手い人を見ると、感情移入してしまい、その役の印象が根付いてしまうことあると思いますが、そういうレベルの作品だと思います。
『フジコを取り囲むイヤミスな空間に琴線が触れてしまう』
またさらに真梨ワールドにひきづりこまれていってしまう作品だと思います。
『殺人鬼フジコの衝動』のアマゾンでの評価
「興味深い
人間の闇が見れて興味深い内容でした。自分にはない発想と行動に息を飲んだ。」
「面白い
彼女の本を数冊読んだ中で1番面白いかったのがこれです。ドラマも面白い。」
「何度か読むのをやめようと思った
殺人の描写がグロいので気分が悪くなりました。
私自身小さい子供がいることもあり、虐待の部分は本当に心が痛く、この本を読んだことを後悔しましたが、
あとがきを読むと続編を読まずにはいられません。」
「夢見るシャンソン人形
さすが女性作家ですね、エログロが容赦ないです。
ページをめくるのをやめられない本です。
でも人を選ぶ本です。
うーん、おもろい!」
「これぞイヤミスか
ドラマが話題になったので見てから読んだ。ドラマに漂う哀しさはほとんどなく、フジコの衝動がひたすら強調されていて、いわゆる「後味の悪さ」が強かったが、狂気の物語として味わうことができた。」
まとめ 『殺人鬼フジコの衝動』
クチコミ・レビューを見ると
- 読む人を選ぶ
- あとがきで本領を発揮する
- エログロが容赦ない
- ぐいぐいと物語の中に、、
などなど、とても共感できます。
やはり本のクチコミ・レビューというものは、その本を読む前はサッと目配せする程度に留め、読んだ後にじっくり見ることでその魅力が更に高まりますね(^^)
イヤミスの女王の代表作をぜひ。
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『本』自体を所有できない寂しさはありますが、改めてその便利さを実感しています。
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